ロシアにとっても新しいノウハウが必要だ。ロシアにおける最大の問題は行政障壁でも汚職でもなく、人材の不足だ。素晴らしいアイディアがあっても、それをいかに商業化していくか、そのやり方を学ばなくてはならない。つまりロシア経済の脱資源化・多角化、いわいる「近代化(モデルニザーツィア)」のためには、先進諸国のノウハウ、そして最新技術が必要になる。先進国にとっても、ロシアという巨大な市場とアイディアの宝庫を獲得することは大きな魅力だ。ドイツがロシアに新幹線を提供するならば、日本もシベリア鉄道でできることがたくさんあるはずだ。
ロシアにはドイツやイタリアの企業家連盟が大きな存在感を持っている。彼らはロシアの法律やその他の状況を分析して、自分の頭で考え、行動し、試行錯誤している。それは実はロシアの企業家のためにもなる。我々は彼らの意見に耳を傾けている。それには我々自身の計算もある。つまり企業家というのはお互いを一つの言葉で理解しあえる存在であり、海外の企業家と協力することで、ロシア国内、政府内での我々の発言力も大きくなる。