フィンテック時代に出てきた金融サービスは実に多様です。代表的なものを5つご紹介します。
1つ目は、「ApplePay」などのスマートフォンを使った決済サービスです。スマートフォンの中に、あらかじめプリペイド式のカードやクレジットカードなどの情報を入れ、決済の際にはそれらの情報をスマートフォンから読み込みます。アプリ使用者の側からすると財布の持ち運びや出し入れを頻繁にすることがなくなり便利ですが、お店側にもこれらのサービスを導入するメリットがあるのです。クレジットカードやプリペイド式のカードでの決済システムを導入しようと思うと、これまではそれぞれの専用の端末を店におく必要がありました。それらには当然個別にコストも発生してきますし、クレジットカードの場合支払いからお店側への入金までタイムラグが生じるのです。これらを一元化すると、お店の負担を減らすことができます。こうして、これまで決済サービスを導入できなかった小規模な店舗でも使えるようなサービスが、アメリカなどでは広まってきています。
資産運用の面でいくと、これまでは多種多様な銘柄から個人が判断して一つ一つ購入したり、専門家に相談したりして高いコストを支払うことが求められていました。そこで登場するサービスが、2つ目に紹介する「ロボアドバイザー」です。このサービスは、自分がどのような条件で資産運用をしたいかの条件を入力することによって、自動的に最適な投資信託の銘柄のサービスを選択してくれるというものです。これまでよりも早く、かつ人が行うよりも低いコストでの運用支援サービスを受けることができます。
3つ目は「エイコーンズ」と呼ばれる、一風変わったサービスです。これは、クレジットカードで支払った際の端数を毎回自動的に銀行や投資信託に預け入れていくというサービスです。もちろん一回一回の貯金額は微々たるものですが、自分では気づかないうちに貯金をして行き、一年後には何万円と貯まっているという状態です。日本では昔からなじみがある「貯金箱」をそのままアプリにしたサービスといえます。
貸付についても、海外では新たなサービスが展開されてきています。ここで4つ目の例として、「P2Pレンディング(PeertoPeerLending)」というサービスがあります。これは一個人の貸し手と借り手が条件を登録しておくことで、自動的にそれらのマッチングが行われ貸し借りが行われるというものです。銀行を介するよりも安く利用できるため、特にアメリカと中国を中心に広がってきています。ただし、日本では個人の貸し手が貸し付けをしようとすると「貸金業登録」をする必要があり、これらは現行では行うことは困難です。
5つ目は、「クラウドファンディング」というお金の集め方です。これは「このような目的でお金を使いたい!」と思う個人や企業に対し、大勢の人が出資を行います。出資されたお金は投資ファンドを介して個人、企業に支払われます。クラウドファンディングは日本でも広がっているやり方です。